お金はないけど、幸せは3匹分

猫・おじ日和

朝、いつもどおり一番にキッチンでレモンを絞る。
習慣が人を作る。健康のために今日も朝から最強習慣。350mlのミネラルウォーターに、レモン果汁を注ぎ、オーガニックのリンゴ酢を大さじ二杯。ヒマラヤ岩塩を小さじ一杯いれてレモンリンゴ酢水が完成。

そして無農薬キャベツを千切って皿に盛り、コスパ最強の朝サラダごはん。
節約というか、もはや“健康にしか興味がない貧乏人”やけど、これが意外と悪くない。
……と思ってたら、背後で「ニャ~ン」と主張の激しい声。

「はいはい、ぼんじり。朝からそんなに鳴かんでもええやろ」

ぼんじりはうちのボス猫。器が大きくて、ちょっとやそっとじゃ動じへん。
でも、ご飯のときだけは誰より真剣やから、こうして毎朝プレッシャーをかけてくる。

後ろを振り返ると、キッチンの入口にはもう一匹。やげん。
しっぽをピンと立てて、お姉さんらしく優雅に座っとる。でも、目線はご飯の皿にガン見。

「やげん、今日のご飯はちょっとグレード落ちるで? 家計が…」

一応そう言ってみるけど、やげんのプライドは高い。昨日買った“ちょっとだけ贅沢なご飯”じゃないと、そっぽ向いてしまう。
ほんま、美意識まで高い猫って、どないやねん…。

最後にやってくるのが、てば。
この子は末っ子で、やたら甘えたがる。朝からすり寄ってきて、足にまとわりつく。
「てば、お前は何でもええんやもんな」
…と思いきや、ぼんじりややげんのご飯まで手を伸ばす欲張り。
最近ちょっとお腹緩めなのは、そのせいやろ。

「こら! てば、それやげんの分!」

わちゃわちゃしながら、なんとか三匹にご飯を分け終える。
自分はキャベツとレモン水、猫は一応ちょっといいフード。
「なんやろなあ、人間のほうが質素やん…」と思いつつも、猫の健康だけは妥協できん。

朝からわちゃわちゃと猫たちの食事を終えたあとは、ミネラルウォーターをあおってちょっと一息つく。毎日4リットルを飲むから一日中水飲んでるイメージw
ぼんじりは満足そうに窓際で丸くなってるし、やげんは毛づくろいしながらこっちをチラチラ見てる。たぶん、「今日のご飯、ちょっとイマイチやったわ」って顔やな。

てばは、ご飯を食べて満腹になると、すぐに膝の上に乗っかってくる。
お前はほんと甘えん坊やな。ちいさな重みがじんわり来る。それがちょっとうれしい。

猫たちの健康は気になる。正直、家計はいつもカツカツや。
自分のご飯はとことん節約してるけど、猫たちだけは少しだけいいものを買ってしまう。
「人間より猫の方がええもん食べてるな」なんて、たまに笑われるけど、ぼくはそれでええと思ってる。

それでも、時々「ほんまにこれでええんかな」と思う日もある。
自分だけお金も余裕もないのに、猫たちにだけ贅沢させて……。
いや、贅沢いうても大したもんじゃない。
でも、ぼくにとっては結構な出費や。

そんなある日、事件は起こった。

てばが食器棚の上から勢いよくジャンプして、ご飯の袋をぶちまけた。
カリカリが床一面に転がって、ぼんじりは無言で食べだすし、やげんは「信じられない」と言わんばかりに尻尾を立てて部屋の隅へ。
てばだけが「しまった!」って顔して固まってる。

「うおおぉおい?! てば……」

思わず叫び声が出るけど、怒る気にはなれなかった。
やげんがぷんすかしながら近づいてきて、ぼくの足元で「ニャア」と抗議してくる。
ぼんじりは、やっぱり動じずマイペースに食べ続けてる。
なんやかんやで、こんな日常が、ぼくはすごく好きや。

全部片付けて、ぼんじりの頭をなでながらふと思った。
「この子たちのために頑張ってるつもりやったけど、ほんとはぼくがこの子たちに救われてるんやな」って。

夜になって、今日も節約メニューで晩ご飯。
でも、膝の上にはてば、隣のクッションにはやげん、窓際のぼんじりもいつの間にか近くに寄ってきてた。

お金がなくても、健康に気をつかって、毎日地味でも地道でも、こうして猫たちと過ごせるだけで、十分幸せやなって思う。

今日も無事に一日が終わった。
気がつけば、猫たちがぎゅうぎゅうになって膝に乗ってきて、ぼくも猫だんごに埋もれて眠ってた。

「お金はなくても、幸せはちゃんとここにあるやん」
そんなふうに思いながら、静かな夜を迎えた。

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